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ブログ再開しました。

まずは、今年6月の突然のブログ閉鎖・アプリ公開停止によって、以前からの読者の方々及びアプリ利用者の皆様方に多大なご迷惑をおかけしてしまったことを深くお詫び申し上げます。

公開停止期間中に、弁理士として広く情報を提供するに当たって、ブログ記事及びアプリの内容が適切なものかどうかを吟味いたしました。
その結果、以下の処置をした上で、ブログ及びアプリの公開を再開させていただくこととしました。

・以前のブログ記事の削除(内容を確認の上、順次公開していきます)
・Androidアプリのうち、「弁理士H24法文集」、「MARUBATU弁理士」、「MARUBATU弁理士(解説)」を無償で提供

以上、よろしくお願いします。
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平成23年度口述試験レポート

【訂正】
意匠:「創作非容易なものとして拒絶されます・・・。」→「創作容易なものとして拒絶されます・・・。」
商標:(防護標章登録の登録要件の客体要件の質問)「登録商標と同一の商標で」→「登録商標と同一の標章で」(本番もちゃんと後者で回答しました。前者で回答してたらつっこまれてますね(^^;)

<口述試験直前>

私の受験日は3日目の午前。
早めに出発して、8時頃にホテル到着。
さすがに他の受験生はあまりいませんでした(1、2人くらい)。

ラウンジ前のソファに陣取って、四法対照法文集を読んで受付開始時間を待ちました。

受付開始後、直ちに受付を行って7Fの待合室に移動しました。
口述試験二度目で勝手はわかっていたので特に戸惑うこともありませんでした。

・・・が、直前の腹ごしらえ用に大福をかばんに入れていったのに、待合室に入る前に食べておくのを忘れていました・・・。
そこで、こっそりトイレに持ち込んでトイレの中で速攻で食べました(これくらい許されるよね(^^;)。

軽く緊張はしてましたが、がちがちという感じではなく、頭もそれなりにクリアーだったのである程度余裕を持って自分の順番を待つことができました。

以下、記憶が風化しないうちに再現です・・・(といっても既に風化している部分もあり、正確な再現ではない可能性もあります)。



<特許・実用新案>

主 : では、特許出願の分割についてお聞きします。
私 : はい(おや、総括質問ないのか・・・)
主 : 特許法において分割することができる時期を1つお答え下さい。
私 : 補正をすることができるときです(今振り返ると拙い回答・・・)。
主 : 何について補正をすることができるときですか?
私 : 願書に添付した明細書、特許請求の範囲又は図面について補正をすることができるときです。
主 : そうですね。では、他の2つの時期についてお答え下さい。
私 : 特許査定謄本の送達があった日から30日以内にするとき、及び、拒絶をすべき旨の最初の
    謄本の送達があった日から3月以内にするときです。
主 : そうですね。では、次は事例問題です。お手元の紙をめくってください。

kojutsu2011_2.png

主 : (時系列に沿って内容を説明)
主 : では、ケース①の場合に、YはX2を引例として拒絶されますか?
私 : はい。拒絶されます。
主 : それはなぜですか?
私 : X2はもとの出願であるX1の時にされたものとみなされるため、X2はYの先願となり、
    YはX2を引例として39条1項で拒絶されるからです。
主 : そうですね。では、ケース②の場合には、YはX2を引例として拒絶されますか?
私 : いいえ。拒絶されません。
主 : それはなぜですか?
私 : 29条の2の規定の適用において、X2は他の特許出願としては出願日が遡及しないため、
    YはX2を引例としては29条の2で拒絶されないからです。
主 : 根拠条文はわかりますか?
私 : はい。44条2項・・・
主 : ・・・。
私 : ただし書です。
主 : そうですね。では、時間が余りましたので総括質問をいくつか・・・。
私 : (え、これで終わり!?)ありがとうございました。

以下、総括質問・・・というより雑談。
・現職のことや将来のことについて
・どのような勉強をしてきたか?
・受験予備機関を利用したか?
・法文集を見ることについて受験予備機関はどのように教えているか?

<感想>
正直拍子抜けの問題でした。・・・にもかかわらず、私の回答のなんとラフなこと・・・。
できるだけ簡潔に回答することを意識して短く回答したのだけど、「分割することができる時期は?」に対して「補正できるとき」はあまりにラフ過ぎました(^^;
主査、副査ともに、とても感じの良い方で、私の回答に対してうんうんと頷いてくれて、とてもやりやすかったです。
速攻で終わって、ほとんど雑談していたので、きっと大丈夫でしょう(というか、これでダメだったら人間不信になります)。

ちなみに、法文集について聞かれた時に「見たらその問題については配点はないと思えと教えられました」というと、「へえー」と少し驚かれました(どういう意味の驚きかはわかりませんが)。




<意匠>

主 : 意匠法は組物の意匠についてお聞きします。
私 : はい(意匠も総括なしか。今年から総括は時間が余った時だけになったのかな?)
主 : 組物の意匠について意匠法上どのようなものが登録を受けられますか?
私 : 同時に使用される二以上の物品であって経済産業省令で定める物品を構成する・・・
    (ど忘れしてつまずく・・・)
副 : (何かメモを取り始める)
私 : (え~・・・今のマイナス!?・・・と不安になりつつも、なんとか気を取り直して思い出す)
私 : すいません。言い直させてください。
    同時に使用される二以上の物品であって経済産業省令で定める物品を構成する
    物品に係る意匠は、組物全体として統一があるときは、一意匠として出願をし、
    意匠登録を受けることができると規定されています(と8条を丸々暗唱)。
主 : はい。では、組物全体として統一がある場合の類型を3つお答えください。
私 : 構成物品の形状等が同一の造形処理により表されていることにより全体として統一がある場合。
    全体として一つのまとまった形状等を表すことにより全体として統一がある場合。
    構成物品の形状等が物語性など観念的に関連がある印象を与えることにより全体として統一が
    ある場合です。(審査基準と多少文言が違うかも・・・大丈夫かな?)
主 : はい。では、それらのうち1つ具体例を挙げてください。
私 : はい。では3つ目の例を・・・(と3つ目の例を挙げようとするも気が変わり・・・)
    すいません。2つ目の例を挙げます。2つのソファーが組み合わさった「一組のいすセット」です。
    (松竹梅の「一組のせん茶セット」が頭にあったにもかかわらず、なぜ変更してしまった
     のか自分でもよくわからない・・・)
副 : いすがどのようになってるものですか?
私 : はい。2つの椅子・・・ソファーが並べられてL字型になっているようなものです。
    (審査基準の例を見た感じをそのまま説明)
副 : はい。結構です。
主 : では、組物の構成物品の一つを公知にした場合、組物の意匠について登録を受けられますか?
私 : 受けられる場合もあれば、受けられない場合もあります。
主 : ・・・もう少し説明してください。
私 : はい。構成物品と組物は物品非類似のため、3条1項で拒絶されることはありませんが、
    公知にした構成物品の意匠から、いわゆる当業者が組物の意匠を容易に創作できた場合
    には3条2項で拒絶されます。
主 : うーん・・・(副査を見る)
私 : (え、なんかおかしなこと言ったか・・・??)
副 : まあ、いいんじゃないですか。
主 : ・・・はい。では、組物の構成物品をすべて公知にした場合は、登録を受けられますか?
私 : (おそらく、一つ前の質問は「組物と構成物品は非類似」だから構成物品が公知になって
     も問題ないということを聞きたかったんだろうな・・・。そこをごちゃごちゃ言ったから
     ちょっと引っかかったに違いない。よし、今度はまかせろ!)
    受けられます。
主 : なぜですか?
私 : 構成物品の個々の意匠が公知になったとしても、各構成物品と組物は物品非類似のため、
    3条1項には該当しません。また、構成物品のすべての意匠が公知になったとしても、
    それらを組み合わせた組物の意匠が常に創作容易とも限りません・・・。
    (あれ? 俺またなんか、ごちゃごちゃした回答しちゃってる??)
主 : うーん。もっと簡単に考えて下さい。すべての構成物品が公知になったら通常どうですか?
私 : 創作容易なものとして拒絶されます・・・。
主 : はい。では、このような場合常に登録を受けられませんか?
私 : いいえ。公知にした各構成物品の意匠について4条2項の適用を受けることにより、
    登録を受けられます。
主 : いつまでに出願する必要がありますか?
私 : 各構成物品の意匠を公知にした日から6月以内に出願する必要があります。
副 : 具体的にはいつまでですか?
私 : (あれ? またつまずいた・・・。なんでだ?)
    各構成物品の意匠を公知にした日から6月以内です。(わからなかったのでそのまま言い直す)
副 : どの構成物品を公知にした日ですか?
    (ここで、ようやく意味を把握する)
私 : あ、最初に公知にした日から6月以内に出願する必要があります。
主 : では、「ナイフ、フォーク、スプーン」を構成物品とする「一組のナイフセット」の柄の
    部分に同一の装飾を施した場合、柄の部分について部分意匠の登録を受けられますか?
私 : いいえ。受けられません。
主 : それはなぜですか?
私 : 2条1項において、物品の部分から組物は除外されているからです。
主 : もう少し詳しく説明してください。
私 : はい。組物の意匠は組物全体の統一された美感を保護することを目的としているのに対して、
    部分意匠は物品の部分の形状等の創作を個別に評価するものであり、その趣旨が全く異なる
    ため、組物の意匠についての部分意匠は登録が認められません。
主 : 平成10年法改正で組物の要件が「二種以上の物品」から「二以上の物品」に変更されましたが、
    その理由は何ですか?
私 : はい。同種の物品からなるシステムデザインを適切に保護するためです。
主 : ・・・。
私 : (なぜ、止まる??)
副 : どのような組合せについて登録されるようになったのですか?
私 : はい。先ほどの例のような「一組のいすセット」のように同種類の物品が複数組み合わされた
    ものについての登録が受けられるようになりました。
副 : 一言でいうとどのような組合せについて登録されるようになったのですか?
私 : (なんだこれは・・・。青本のキーワードか??)・・・柔軟な組合せです。
主 : ・・・。
副 : うーん、まあ、これはいいでしょう。
私 : (この副査、神!!)
副 : ところで、先ほど、部分意匠が保護するのは形状とおっしゃいましたか?
私 : すいません。部分意匠が保護するのは部分の意匠の創作です。
主 : はい。では、これで終わります。
私 : ありがとうございました。

<感想>
普段の練習で言い間違えたことのない箇所を言い間違えたり、題意を見事に外したり・・・。「簡単な問題なのに、このザマは何だ」、「もっと上手く答えられたはず・・・」と自責の念にかられてます。
とはいえ、ところどころミスしつつも、特段間違ったことは口走ってないし(深読みし過ぎただけ)、時間内に終わったので、なんとか及第点かなあ・・・と期待してますが、不安は残ります。

後で青本を確認したところ、H10改正の趣旨の答は「『自由』な組合せを可能とした」だと思います。こんな文言をキーワードにしなくても・・・と思いましたが、副査の「柔軟」な対応には感謝です(熊なら間違いなく死んでました。というか、そもそも、その質問まで辿りついてなかったでしょうね)。




<商標>

私 : (あ、白いお髭が・・・。まさかこの方が・・・)
主 : いいですか。これから商標法についていくつか質問します。知ってることばかり
    だと思うので、落ち着いて、簡潔に答えてください。
私 : はい・・・。
主 : では、商標法は防護標章登録についてお聞きします。
私 : (そこ来たか・・・)
主 : 防護標章登録を受ける要件は何条にどのように規定されていますか?
私 : はい。64条1項に・・・、失礼しました。64条1項及び2項に規定されています。
    自己の業務に係る商品又は役務について需要者の間に広く認識されているものであって、
    指定商品等と非類似の(物品と言いかけるもなんとかこらえる)商品又は役務について
    他人に使用されると出所混同を生じる場合に、登録を受けることができます。
    (やばい、なんか色々抜けてる気がする・・・)
主 : 他は?
私 : ・・・(やばい、萎縮してしまって、飛んでしまってる・・・)
主 : 主体要件は?
私 : (おお、助け舟。意外と優しい?)商標権者です。
主 : 客体要件は?
私 : はい。登録商標と同一の標章で、商標登録に係る指定商品等と非類似の商品等で混同を
    生じるおそれがある商品等について登録を受けることができます。
主 : はい。じゃあ次。防護標章登録が認められる趣旨は?
私 : はい。著名商標を的確に保護するためです。
主 : もうちょっと詳しく言って。
私 : はい。指定商品等と非類似の商品等について使用された際に混同を生じるような場合、
    指定商品等についての保護だけでは不十分だからです。
    (やばいなあ・・・。なんかうまく説明できない・・・)
主 : もっと、趣旨とか目的から説明して。
私 : はい・・・。商標法の目的は商標に化体した業務上の信用を保護することですが、商標
    自体が著名となり、非類似の商品等に使用された際に混同を生じるような場合には、
    いわゆる禁止権を非類似の商品等まで広げて保護しなければ、商標権者の業務上の信用を
    十分に保護することができないからです。
主 : ・・・まあいいでしょう。
私 : (ほっ)
主 : では次。防護標章はなぜ「商標」ではなく「標章」なのですか?
私 : はい。使用するものではないからです。
主 : はい。じゃあ次。「需要者の間に広く認識された」という周知性について、4条1項10号や
    32条など他の場面にも出てきますが、ここではどの程度の周知性が必要ですか?
私 : はい。著名に至っている程度であることが必要です(直前に審査基準を見ていた!)。
主 : どの程度の範囲で?
私 : (!? 審査基準で範囲について書かれてたっけ??)
私 : その商標自体の出所表示機能が大きくなり、その商標自体が著名となっているものです。
    (何言ってるか自分でもよくわからなかったが、沈黙よりはましだろうと思い、適当に
     回答する)
主 : そういうことじゃなくて、周知になってる範囲を聞いてるの。
私 : ・・・全国的に著名となっている必要があります。
主 : そういうことだよねえ。はい、じゃあ次。混同には広義の混同を含みますか?
私 : はい。含みます。
主 : では、広義の混同とは何ですか?
私 : その者と経済的、組織的に何らかの関係がある者の業務に係る商品又は役務であると
    混同を生じるようなものです。
主 : はい。じゃあ次は最後の質問です。
私 : (おお、終わりが見えた)
主 : 他人が商標登録を受けている場合に、それと同一の標章、同一の指定商品等について
    防護標章登録を受けられますか?
私 : はい。受けられます。
主 : それはなぜですか?
私 : ・・・(あれ、出てこない)。
主 : 質問の意味わかってますか?
私 : はい・・・。いえ、すいません。もう一度お願いします。
主 : (同じ内容の質問)
私 : 防護標章は使用するものではないため、防護標章登録を認めても商標権者に不利益は
    ありません。一方、他人が商標権を有している部分については第三者はその指定商品等
    について商標を使用することはできませんが、商標権者が第三者の使用を容認するよう
    な場合があるので、自ら防護標章登録を受けておく必要があるからです。
    (支離滅裂・・・)
主 : わかってると思うんだけど、質問の意味を本当に理解してますか?
私 : ・・・。
副 : 他人の商標登録があると防護標章登録を受けられませんか?
私 : いいえ。受けられます。防護標章登録出願と商標登録出願は先後願の関係に立たず、
    防護標章登録は64条の要件を満たしていれば登録を受けられるからです。
主 : そういうことです。
私 : どうも、すいませんでした。
主 : では、これで終わります。
私 : ありがとうございました。

<感想>
綱渡り状態。一応助け舟をもらいつつ時間内に終わったけど・・・大丈夫だろうか?
最後の質問は、勝手に難しく考えすぎて迷路に迷い込んでしまった。
「登録を受けられる」→「拒絶理由ではない」
ということを端的に回答すればよかったんでしょうね。それを、何を血迷ったか「登録商標と重なる場合にも防護標章登録を受けられるようにしておく必要性」について回答してしまってます。
・・・終わった直後は時間内に終わったから大丈夫かなと思ってたけど、これ書いてて、本当に大丈夫かそこはかとなく不安になってます・・・。




<所感>
紆余曲折しながらも、一応すべての質問に対して時間内に回答できた(「OK」または「まあOK」の反応はもらえてる)ので、多分大丈夫かな・・・と思ってますが、この再現を書いて、自分の回答の拙さを改めて認識し、少し不安になりました。

「シンプルかつストレートに答える」

という基本を徹底しようと心がけていたつもりなのに、結局あたふたして余計なことをたくさん口走ってしまいました・・・。

まあ、沈黙してしまうと助け舟の出しようもないので、これでよかったような気もしてます。
(沈黙するよりも、「題意を外しつつも根本的に間違ってない内容」をどんどん口に出して、主査又は副査に軌道修正してもらって、正しい答にたどり着ければいいのかな・・・と)

P.S. 
4日目以降の午前の方へ(もし見ていたら)。
試験後の拘束時間は結構苦痛です。
試験前は試験後のことはあまり考えられないため、試験後の過ごし方を考える余裕もないと思いますが、小説など時間つぶしになる物を何か一つ持って行っておいた方が絶対にいいです。
あと、試験で一気にエネルギーを消費するためか、ものすごく腹ペコになります。カロリーメイトなどを持って行っておいたほうがいいかもしれません。
ちなみに、私は暇すぎて悶絶しました。あまりに暇すぎて、客室のディジタル時計で「00秒」になってから、時計を見ずに60秒数えてどれくらい正確に測定できるかを確認したりしていました。

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平成22年度口述試験レポート

※できるたけ口述試験当日の臨場感をありのままにお伝えしようと思います。
※試験の雰囲気のみを知りたい方は<口述試験直前>を飛ばしてお読みください。



<口述試験直前>

私の受験日は4日目の午後。
試験会場はザ・プリンスパークタワー東京。

当日はJR浜松町駅から歩いて会場に向かいました。

 「いよいよこの日がやって来た……」

緊張しつつも、どこかわくわくした気持ちでした。

会場のホテルへは、特に迷うことなく集合時刻の40分前くらいに到着しました。
既に、ホテル1Fフロアは受付開始を待つ大勢の受験生で溢れかえっていました。
通りすがりのおばちゃんが「今日は何かあるのかしら??」としきりに不思議がっていたのが印象的でした。

受験生達の様子ですが、笑顔で談笑している受験生も何人かいましたが、ほとんどの受験生は、

 (これから勝負が始まる……)

といった感じで、幾分緊張した様子で、最後のあがきとばかりに法文集やレジュメに真剣に目を通していました。
私も法文集を立ち読みしながら受付開始を待ちました。

 ――――

しばらく経って、特許庁職員の方から受付をするように案内があり、受験生達がぞろぞろと1Fフロア脇に用意された受付スペースに入っていきました。
受付スペースには、多くの受験生が一気に押し込められて、もわっとした空気がたちこめましたが、受付はスムーズに行われ、すぐにその空気からは解放されました。

受付では、番号札をもらい、待合部屋の部屋番号を伝えられました。
エレベーターに乗って待合部屋に向かうと、部屋はホテルの一室(ツインくらいの広さ)で、縦4列、横6列にパイプ椅子が並べられていました。

受験生が全員そろったところで、その部屋の担当者らしき特許庁職員の方から、試験上の注意について説明がありました。ここで「試験が終わるまでは長いですけど部屋から出ることはできません」という説明に、思わずびっくりしてしまいました。何を勘違いしたのか「部屋から出られない=トイレに行けない」と思いこんでしまって、トイレ大丈夫かな……と不安になったのです。

その不安は、他の受験生が職員の方に許可を得てゆうゆうと部屋のトイレを使うのを見て、あっけなく消え去りました。同時に、勘違いして少し動揺した自分が少し恥ずかしくなりました。
ホテルなんだから……当然、部屋にトイレついてますよね。

 ――――

口述試験開始時刻を経過し、最初の席番号の人が呼び出され、部屋から出て行きました。その後、席番号順に順次受験生が呼び出され、部屋の中で待機する受験生の数がどんどん減っていきます。私は後ろの方だったので、かなり待機時間がありました。

待機時間中、いざ本番というときに言葉が口から出やすくするように、高速で口バクしながら読み進めました(残念ながら、あまり効果があったとはいえません……)。

同じ部屋にいた私以外の受験生の中には、

・レジュメを熟読する頭の良さそうなメガネ男子
・青本を重そうに抱えながらも熱心に内容を確認している女性
・頭の中でシミュレーションしているのかレジュメなど一切見ずに真正面を見つめる男性
・椅子をゆすっては咳払いを繰り返す緊張しきりの中年男性

一つの部屋の中にもほんと色んな受験生がいるなあ……と感じました。
緊張しきりの中年男性を見ていたら、なんだかこっちまで余計に緊張してきました……。

 ――――

そして、ついに自分が番がやってきました。

 ――――

部屋の前には別の職員の方が待機しており、試験部屋へと引率してくれました。
ホテルはちょうど三角柱の中をくりぬいたような形状をしており、試験部屋は待機部屋を出て右に進み、角を左に曲がってまっすぐに進んだ先、すなわち建物の中心の空間を挟んで待機部屋のほぼ反対側に位置していました。

「特・実の部屋」、「意匠の部屋」、「商標の部屋」が並んでおり、それが2~3レーンほどありました。部屋の前には受験生が待機するための椅子が設置されており、しばらくその椅子に座って自分の番を待ちました。

 ――――

そして、ついに口述試験の幕が開きました。

※以下は、当日の記憶をふり絞って書いてますが、脳内補正によって事実とは多少異なっている可能性があることをあらかじめご了承ください。



<特許・実用新案法>

副 : 緊張していますか?
私 : はい……
副 : まあ、肩の力を抜いてお答ください。あなたなら、本来の実力を出せば大丈夫です。
副 : では、まず総括的な質問をいくつかさせていただきます……

    (どれくらい勉強したか、現職のこと、弁理士を目指すきっかけなど)

主 : ……では、特許法は特許出願の分割についてお伺いします。
    特許法で特許出願の分割について規定されているのは何条ですか?
私 : 44条です。
主 : では、分割出願について特許法上どのように規定されていますか?
私 : 複数の発明を含む特許出願の一部について新たな出願をすることができる、と規定されています。
主 : 条文に忠実に正確に言ってください。
私 : 二以上の発明を含む特許出願の一部について新たな出願をすることができる、と規定されています。
主 : 分割出願は一つしかできないのですか?
私 : 失礼しました。二以上の発明を含む特許出願の一部について一又は二以上の新たな出願をする
    ことができると規定されています。
主 : 何の出願ですか?
私 : すいません。二以上の発明を含む特許出願の一部について一又は二以上の新たな特許出願を
    することができると規定されています。
主 : はい。では、分割出願の効果について説明してください。
私 : 新たな出願はもとの出願のときにされたものとみなされます。
主 : はい。原則として出願日が遡及しますね。では、出願日が遡及しない場合はありますか?
私 : 新規性喪失の例外の適用を受ける際に必要な書面提出の日、国内優先権及びパリ条約上の
    優先権主張の手続において必要とされる書面提出の日としては遡及しません。
主 : それはなぜですか?
私 : これらについて出願日遡及すると、新たな出願について手続を行うことができないからです。
主 : それはそうなんだけど、それだとなぜいけないの?
私 : 出願人に不利益となるからです。
主 : うーん……。不利益というよりも、もっと適切な言い方はないですか?
私 : ……不合理だからです。
主 : そうですね。不利益というよりも不合理ですよね。他に出願日が遡及しない場合はありませんか?
私 : 29条の2の引例となる先の出願の日としては遡及しません。
主 : 先の出願? 条文にそのように記載されていますか?
私 : いいえ。「他の出願」と記載されています。すみません。
主 : 特許出願以外も絡めて他にありませんか?
私 : 実用新案法3条の2の特許出願の日としても遡及しません。
主 : 最後の質問です。もとの出願のときに提出された書面について新たな出願の際に提出不要な
    ものがいくつかありますが、その一つの例をお答ください。
私 : パリ条約上の優先権主張をする際に出願と同時に提出する書面です。

<感想>
文面だけみればかなりつっこまれているように見えますが(実際かなりつっこまれましたが……)、主査、副査の方はともに好意的(どうやら論文の出来が良かった模様)で、なんとか正しい答に誘導してくれようとしているのがわかりました。それもあって、なんとか切り抜けられました。




<意匠>

副 : 特許の試験はどうでしたか?
私 : はい。何とか最後まで回答できました。
副 : それはよかったですね。その調子で意匠も頑張って下さい。
私 : はい。ありがとうございます。
副 : それでは総括的な質問をいくつかさせていただきます……

    (現職のこと、弁理士を目指すきっかけ)

副 : ……意匠は創作非容易性について伺います。創作非容易性は何条に規定されてますか?
私 : 3条2項です。
副 : 条文にはどのように規定されていますか?
私 : 意匠の属する分野における通常の知識を有する者が、日本国内又は外国で公然知られた
    形状、模様、色彩又はこれらの結合に基づいて容易に意匠の創作をできたときは、その
    意匠について登録を受けることができない、と規定されています。
副 : はい。では、3条1項3号と3条2項の両方に該当する場合はありますか?
私 : はい、あります。
副 : その場合3条1項3号と3条2項の両方の拒絶理由通知がされるのですか?
私 : いえ、そのような場合は3条1項3項のみが適用されます。
副 : なぜですか?
私 : 3条2項かっこ書きで3条1項各号に該当する意匠は除くと規定されているからです。
主 : ちょっとまって。最初からもう一度言って。
私 : 3条1項3号と3条2項の両方に該当するときは3条1項3号が適用されます。
主 : そもそも3条1項3号と3条2項の両方に該当することがあるの?
私 : いえ、3条1項各号に該当する意匠については3条2項の適用はありません。
主 : さっき、あなたはあるとおっしゃったでしょ?
私 : いえ、両方に該当する場合は3条1項3号が適用されます。
主 : 両方に該当するって、3条1項と3条2項の両方に該当するけど、その場合は3条1項
    だけを適用するということですか?
私 : あ、いえ、3条2項の引例としては3条1項3号に該当するものは除かれます。
主 : そもそも、3条1項3号に該当するものも3条2項にも該当するのですか?
私 : いえ、3条1項各号に該当するものは3条2項では除かれています。
副 : ……では次の質問です。特許法でも同じような規定がありますがわかりますか?
私 : はい。特許法29条2項です。
副 : では、特許法29条2項と意匠法3条2項の違いを説明してください。
私 : はい。特許法29条2項の場合は、いわゆる当業者が29条1項各号の発明に基づいて
    容易に発明できるようなものが該当しますが、意匠法3条2項の場合は、3条1項各号
    に掲げる意匠ではなく、公知の形態に基づいて容易に創作できるものであれば該当します。
主 : ん? 3条1項各号に該当する意匠に基づいて創作容易な意匠は3条2項に該当しない
    のですか?
私 : いえ、該当します。3条2項は物品を離れて公知のモチーフ等の形態に基づいて判断
    されるからです。
主 : 3条2項の「物品の形状、模様、若しくは色彩又はこれらの結合」とは、つまりどういう
    ものですか?
私 : 物品から離れたモチーフ等で意匠のように物品性を要求されないものです。
主 : うーん……一言でいうと?
私 : !?(そのままなのだが……)
主 : 3条1項3号との違いはなんですか?
私 : 3条1項3号の引例は意匠、つまり物品性がなければなりませんが、3条2項の場合は、
    意匠ではなく公知の形態が引例となります。
主 : 3条2項の場合は「意匠」は引例とならないのですか?
私 : いえ、含みます。
主 : つまり、どういうことですか?
私 : !?(またきたか……)つまり、物品から離れた……
主 : そうじゃなくて、逐条解説にも書かれている言葉でいうと?
私 : ……
主 : 理解しているのはわかるけど、それを他人に正確に伝えられないといけない。
    逐条解説にも書いてある基本的なことですよ。はい。もう一回。
私 : ……
主 : 3条2項の物品の形状等には意匠は含まれるんですか?含まれないんですか?
私 : 含まれます。
主 : はい。じゃあ、最初からちゃんと言いなおして。
私 : ……
結局最後までいけずタイムアップ

<感想>
なんだかなあ……って思ってしまいますね。まあ、私の回答も拙かったとは思います。

最初のミスは「3条1項3号と3条2項の両方に該当する」と言ってしまったこと。
私の本意はもちろん「『3条1項1号又は2号に類似する意匠』と『当業者が公知の形態等に基づいて容易に創作できる意匠』とは重なる場合がある」という意味ですが、そういう風には善解されず、「どっちを適用してもいいけど便宜上3条1項3号を適用するということなのか?」と突っ込まれました。
おそらく「そもそも3条1項各号に該当する意匠は3条2項の意匠からは除かれる(3条2項かっこ書き)という意味をちゃんと理解しているのか?」という疑いをもたれてしまったのでしょう。言葉の選択には細心の注意を払って、正確に伝えなければならないと改めて感じます。
それぐらい合理的に善解してくれても……と思わなくもないですが、これは私に責任がありますね。

二つ目のミスは青本の「文言」を軽視していたこと。
タイムアップで答えられなかった解答はおそらく「意匠を含む概念」だと思います。帰宅してから青本を見て字句の解説のところにそう記載されているのを確認しました。この重要ワード(?)をびしっと言って欲しかったんでしょうね……。「意匠を含む」って何度も言ってるんだから通してくれてもいいものを。

あたかも青本が聖書であるかのごとくあがめて、一言一句暗記しなさいってことでしょうかね?

誰かのブログで「条文、青本の文言を正確に答えさせようとする試験官がいるので重要部分は丸暗記すべき」といったことが書かれていたのを見た記憶がありますが、本当にそうだと実感しました。





<商標>

主 : それではまず最初に総括的な質問をします……

    (現職のこと、弁理士に興味を持ったきっかけ)

主 : ……商標は4条1項8号についてお聞きします。他人の著名な芸名を含む商標という
    理由で、4条1項8号の拒絶理由通知を受けた出願人の代理人であるあなたがまず検討
    すべきことは何でしょう? 
私 : 商標に他人の芸名が含まれているか確認します。次に、他人の芸名が著名であるかどうか
    検討します。
主 : はい。他にはないですか?
私 : 商標に他人の芸名を含み、かつ、その芸名が著名であるならば、その他人の承諾を得る
    ことを検討します。
主 : それは、4条1項8号に該当するとわかった後に取る行為ですね。
    それよりも前にまず検討すべきことがないですか?
私 : (完全に4条3項が頭から抜けていた……)
    ……他人の芸名が指定商品等との関係で著名であるかどうか検討します。
主 : はい?! 4条1項8号では商品関係が要求されますか?! 
私 : (しまった……と思いつつも実際上間違っていないと思い、何とか理由づけを試みる)
    条文上規定されていませんが、4条1項8号は人格権保護のための規定ですので、
    指定商品等との関係でその他人を想起させる程度の著名性がなければ人格権は害され
    ないため、同号の適用はないと考えます。
主 : 本当ですか?? 条文上4条1項8号では指定商品等が要件とされていますか? 
私 : ……すいません。されていません(もうこの時点で「終わった」と思いました)。
主 : では最初の質問に戻りますが、他に検討すべき事項はありませんか?
私 : 他にですか……
主 : 8号の判断はいつを基準にされますか? 
私 : !!(ここでやっと4条3項に気づく……)出願時に4条1項8号に該当するかどうか
    を検討します。4条3項より出願時に該当しなければ同号の適用はないからです。
主 : ……そうですね(主査、副査ともに「やっと出てきたか……」という深いため息ととも
    に手元の紙に何かを走り書き)
主 : では、4条1項8号で他人の芸名に著名性が必要とされるのはなぜですか?
私 : はい。著名でないものに8号の保護を与えるのは行き過ぎだからです。
主 : 他人の氏名には著名性は要求されませんが、それとの比較で回答できませんか?
私 : 氏名は生来的に定まっており直接的にその者の人格を示すものですが、芸名はいくらでも
    好きなものを選択でき、それ自体直接的にその者の人格を示すものではないため、芸名等
    には著名性が要求されます。
主 : うーん……もう少しシンプルに言えませんか? 氏名と芸名とで決定的に異なる性質が
    あるのですが、それを一語で言うと何でしょう? 逐条解説にも載っているのですが。
私 : (やばいっ、意匠の時と同じだと、デジャヴ)……芸名は選択物だからでしょうか?
主 : 自由に選択できるということは?
私 : ……趣味性があるからでしょうか?
主 : おしいけど違います。もう少し法律的な用語で表現すると?
私 : (何も浮かんでこない)……嗜好性でしょうか?
主 : 違います。
私 : ……すいません。思いつきません。
主 : では、ひとまず置いて先に進みます。4条1項8号の趣旨は何ですか?
私 : 人格的利益の保護です。
主 : では、出願時にも査定時にも4条1項8号に該当する場合に、代理人であるあなたが検討
    すべきことは何ですか?
私 : その他人の承諾を得ることです。
主 : はい。そうですね。では、飛ばした質問に戻ります。何かわかりますか?
私 : ……趣味と近い意味なんですよね?
主 : はい。それを法律用語に近い言葉で表すと何でしょう? できれば答えて欲しいんですが。
私 : ……
結局タイムアップ

<感想>
何も言い訳できません。4条3項を検討漏れしてしまった時点でアウトですね。この検討漏れがなければ、苦し紛れに商品関係に言及するという重大ミスを犯すこともなかったと思います。

「恣意的」というキーワードが出てきませんでした。これも、「同じような意味の回答をしてるんだからいいじゃない……」と思ってしまいますが……。




結果は、不合格です。
不合格通知はまだですが、おそらく「特許:B、意匠:C・商法:C」でしょう。

まあ全体的に自分に口述に受かる実力が備わってなかったのだと思います。

試験直後は、「あんなに文言の正確性にこだわらなくてもいいじゃないか。頭の固い試験官だ」と少し怒りを感じていましたが、冷静になって振り返ってみると、「自分の回答一つ一つが正確性・厳密性を欠いていた。だから試験官に一つ一つ厳しくチェックされてしまったのだ」と思います。

教訓を二点にまとめると

1.重要条文の文言、青本の文言・キーワードは漏らさず正確に暗記する
2.重要事項の基本的事項ほど入念に学習する

ですね。この教訓を生かしてしっかり勉強して、来年こそは最終合格したいと思います。まずは短答ですが。
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